新法令・通達の解説

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新法令・通達の解説

(令和6年7月31日までの公布分)
生活道路の法定速度を30km/h に引下げ
令和6.7.26 政令第248号=道路交通法施行令の一部を改正する政令 ほか

中央線や中央分離帯などがなく、道幅の狭い「生活道路」を走るときの自動車の法定速度を引き下げることなどを内容とする、道路交通法施行令の改正がありました。

【1】横断歩道等を表示する道路標識の省略

これまで信号機が設置されていない場合には、横断歩道は道路標示に加えて道路標識が必要とされてきました。しかし、車両または路面電車が必ず一時停止すべきこととされている場所等、仮に横断歩道等を表示する道路標識の設置を要しないこととしても、当該横断歩道等を横断しようとする歩行者や自転車の安全が確保できると考えられる場所については、当該道路標識を設置しないことができるとされました。
この改正によって、道路標識の見やすさの向上と費用の合理化が期待されています。

【2】生活道路の法定速度の見直し

道路標識等による中央線または車両通行帯のいずれもが設けられておらず、かつ、道路の構造上または柵その他の内閣府令で定める工作物により自動車の通行が往復の方向別に分離されていない一般道路については、自動車が通行する場合の最高速度(法定速度)が、現行の60km/hから30km/h に引き下げられます。
なお、新たな法定速度の対象となる道路のうち、30km/h の最高速度とすることが適当でないものについては、交通実態等に鑑み、30km/hを超える最高速度規制を実施するなど、所要の対応が行なわれます。

【3】横断歩道を表示する白線の設置間隔を柔軟化

あわせて、横断歩道を表示する道路標示の白線の設置間隔を、これまでの45~50㎝から90㎝までに拡大できること等とする、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の改正が行なわれています。
白線の設置間隔を拡大することで、タイヤの通過位置を避けて白線を配置することが可能になり、横断歩道の道路標示がかすれにくくなるなどの効果が期待されています。
【1】【3】については公布の日から、【2】については令和8年9月1日から施行されます。

その他の新法令・通達

  • 鉄道運転免許の受験資格変更
  • 鉄道・軌道分野における人手不足が深刻になるなかで、若年者の雇用拡大につなげる観点等から、「動力車操縦者試験」の年齢要件が、従来の20歳以上から18歳以上に引き下げられました。
  • (令和6.7.1 国土交通省令第76号=動力車操縦者運転免許に関する省令の一部を改正する省令)
  • 化学物質に対する規制拡大
  • 撥水剤や塗料などに幅広く利用されていたものの、健康や環境への影響の懸念からストックホルム条約締約国会議において廃絶対象物質と決定されたPFAS の一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)関連物質を第一種特定化学物質に指定するなど、化学物質に対する規制の範囲が拡張されました。
  • (令和6.7.10 政令第244号=化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令)
  • 著作物の利用促進
  • 図書館等において全部の複製および公衆送信が認められる著作物の類型が追加され、インターネット等を介した利用がしやすくなりました。
  • (令和6.7.12 政令第246号=著作権法施行令の一部を改正する政令)
  • 火災報知設備の設置基準見直し
  • 自動火災報知設備に代えて特定小規模施設用自動火災報知設備を用いることができる防火対象物の拡大など、火災報知設備の設置・維持基準についての見直しが行なわれました。
  • (令和6.7.23 総務省令第74号=火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令及び特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令の一部を改正する省令)
  • 脱炭素への環境整備
  • 二酸化炭素の貯留事業についての許可制度等を整備するために制定されたCCS 事業法の一部(貯留層の探査に関する規定等)の施行期日が令和6年8月5日と定められました。
  • (令和6.7.26 政令第250号=二酸化炭素の貯留事業に関する法律の一部の施行期日を定める政令 ほか)

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック

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