これからの法改正の動き

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これからの法改正の動き

カスタマーハラスメント対策を事業主の措置義務に

厚生労働省の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」により、雇用の分野における女性活躍推進やハラスメントについての現状分析や論点整理をまとめた報告書が公表されました。報告書では次の3つの柱が示されています。

(1)女性活躍推進法等を通じた雇用の分野における女性活躍のさらなる推進

時限立法である女性活躍推進法の期限を10年間延長することや、事業主行動計画の策定が努力義務である常時雇用する従業員100人以下の企業は努力義務を維持したうえで支援策を充実すること、常時雇用する従業員101人以上300人以下の企業にも男女間賃金差異公表を義務化すること等が示されています。

(2)月経・不妊治療・更年期等の健康課題への対応

女性特有の健康課題への取組みの要素を女性活躍推進法の事業主行動計画に盛り込むことや、女性特有の課題に取り組む企業を評価するため、「えるぼし認定制度」の見直しなどが示されています。

(3)職場におけるハラスメント対策の充実

一般に職場のハラスメントは許されるものではない、という趣旨を法律で明確化することが考えられるとしています。またカスタマーハラスメントについて、事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当ともされています。

●カスタマーハラスメントの定義
カスタマーハラスメントの定義については、次の3つの要素のいずれも満たすものとして検討すべき、とされています。

・ 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行なうこと
・ 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
・労働者の就業環境が害されること

「社会通念上相当な範囲を超えた言動」か否かの判断については、「言動の内容」および「手段・態様」に着目し、総合的に判断される、としています。
「言動の内容」「手段・態様」の片方のみで社会通念上相当な範囲を超える場合や、正当な指摘等を受けた事業者(労働者)の側の不適切な対応が端緒となっている場合があることにも留意する必要がある、としています。
なお、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行なわれたものは、いわば「正当なクレーム」であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する必要があるともしています。
今後、厚生労働省は、この報告書を踏まえ、労働政策審議会雇用環境・均等分科会での審議を経たうえで、女性活躍推進法の改正作業を進める予定です。

注目したい法改正の動向

  • 漁業支援の拡充
  • 岸田文雄首相は福島県いわき市の小名浜魚市場を視察した後の記者会見で、漁獲対象魚種の複合化に向け、漁船・養殖施設の導入支援の拡充、漁業共済制度の拡充のための法改正への取組みや、漁村活性化に向けての新たな支援制度の創設等を表明しました。
  • 職場環境整備の推進
  • 自民党総務会で社会保険労務士法改正案が了承されました。
    社労士の使命に関する規定の新設、労務監査に関する業務の明記、社労士による裁判所への出頭および陳述に関する規定の整備などが柱で、持続的な事業の発展や職場環境の整備等に取り組む事業主をこれまで以上に支援できるようにする、とされています。
  • 循環型社会の実現
  • 第五次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されました。
    天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減する「循環型社会」を形成することを目指す計画として、プラスチック資源循環促進法など関連法の評価・検討スケジュール等が示されています。
  • 災害対応体制の強化
  • 政府は能登半島地震の教訓を踏まえた災害対応の強化について基本的な方向性をまとめました。
    司令塔機能の強化、国の応援組織の充実、避難所の環境整備のさらなる推進、福祉対応体制の強化などを中心に、法改正も視野に入れて制度改正が検討されています。

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック

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